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2021.09.17 / 今日のコラム

わたしたちの開発ストーリー

年を重ねるごとに作品の幅を広げ、新たなブランドも続々と生まれている工房織座のプロダクト。
開発に携わるプロデューサーの梶とマネージャーの武田が、工房織座の作品づくりについて語ります。

工房織座のはじまりについて教えてください。


武田 − もともと今治のタオル工場で工場長をしていた父・武田正利が独立し立ち上げたのが工房織座のスタートでした。父は昔ながらの織機修理や改良はもちろん、織り方の研究にも力を入れている職人気質が強い織物職人でした。役目を終えた100年超えの古い織機を手に入れ改良し、日々、細かな調整と研究を続けていました。タオルの織機でつくる、タオル以外の新しい製品づくり。そのこだわりを極め、たどりついたのがストールでした。
−今治タオルといえば、今では手触りや性能が重視されているものの、元はいわゆる産業製品。安価かつ大量に作ることがよしとされていた時代に、手触りのよさ、ほかにない用途、個性的なものづくりをめざし研究を重ねることは、非常に珍しいことでした。

ストールが知られることになったきっかけは?

武田 − 唯一無二の織物を作り求めた結果、縦糸と横糸によろけさせながら織る“たてよこよろけもじり織り”が生まれました。波紋のような繊細な表現の美しさに加え、通気性や保温性にも優れた類を見ない織であることが評価され、第3回ものづくり日本大賞の経産大臣賞に選ばれました。“たてよこよろけもじり織り”は、より良いものをつくる、今までにないものを生み出すという思いが実を結んだ、工房織座の原点です。

世の中にストールが受け入れたれたことを実感したエピソードはありますか?

武田 − 受賞をきっかけにテレビ番組からの取材や展示会への出展も増え、たくさんの人にその存在が知られることになりました。東京出張の際、街で着用してくださっている人を1日で2度も見かけたときは嬉しかったですね。素敵な人が身につけてくださっているのを見ると、本当に嬉しいです。

デザイン性やファッション性について、工房織座のこだわりとは?

梶 − まずは天然素材を使用すること。そして着用した時の巻きごこちと、とにかく軽さにこだわっています。長さがほんの数センチ変わるだけで、印象は大きく変わりますからね。工房織座のストールは幅のサイズや端の処理も独特で、細かな調整を重ねた結果、絶妙な軽さと巻きやすさにつながっています。この違いは風合いだけでなく価格にも反映されてしまうため、見逃すことはできません。日常遣いができ、身の丈にあった少しいいもの、身につけて本当に心地よいものを、手の届く範囲で提供すること。これも工房織座のプロダクトの大切なポイントです。

大きな特徴ともいえる、絶妙な配色のアイデアはどこから?

梶 − 街を歩いている時、これはいい!と思う色の組み合わせや素材の色を見つけたら、すぐ写真を撮り、忘れないようにしています。デザインで使用する色はグレートーンを基準にしながらも3色以下におさえ、あまり派手な色味や柄は採用しません。ストールはあくまで身に着けるその人の一部。人の肌や髪、服装にストールが足されたときに、やっと100になるように考えるべきだと思っています。派手な色は時代や自身の心の変化によって、飽きてしまうこともある。10年経ってもいい色、と思ってもらえるようなものが目標ですね。

国内のみならず、海外からも愛用者の声が届いていますね。

武田 − 海外の織り職人から“たてよこよろけもじり織り”の織りは美しく繊細で、観賞用に飾っているという声を聞きました。また、日本で買って国に持って帰ったら、あまりの心地よさに家族で取り合いになってしまい、追加で欲しいので海外まで送って欲しいといわれたこともあります。しかし工房織座のプロダクトは非常に繊細で陳列など商品管理も配慮が必要なこと、また大量生産ができないこともあり、残念ながら大々的な海外進出は難しくて。いいものを作り、きちんとお客さまのもとに届ける。今はそのことを大事にしています。

印象に残っている、お客さまからの感想はありますか?

武田 − ストールと同じ素材の帽子もあるのですが、闘病中の方から “軽く、心地よく、着用していると気持ちも明るくなった”という声をいただきました。心地よさをとことん追求してきたものが、人それぞれのシーンを彩ってくれていることを実感する一言でしたね。
梶 − 会った人から、それいいね!と言われるうれしさ。自分だけが知っている、いいものを身に着けるよろこび。ストーリーのあるものづくりの良さを、工房織座では大切にしています。

それぞれの日常に、ここちよいものを。日々肌に触れるもの、目に触れるものにもこだわる。工房織座のものづくりへの思いは服飾アイテムから、生活雑貨にまでそのステージを広げはじめています。
この秋、新たなブランドもスタート。枠にとらわれない工房織座の新しい挑戦は、まだこれからも続いていきます。

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