2022.01.25 / 機織り工房のこと
100年以上前に作られた織機「豊田Y式」で織る
工房織座では、古い日本製の織機を用いて織物づくりをしています。
稼働している9台の織機のうち、最も古いもので豊田佐吉が考案した「Y式織機」。
1915年(大正4年)から1923年(大正12年)の間に43000台生産されたとの記録されているこれらの
織機からは、当時ゆかたやふんどしなどがさかんに織られていました。
それから時を経て2005年。工房織座の職人武田は、一人全国の織物産地を巡り、Y式織機を探します。
日本のとある織物産地で、ガラクタと化したY式織機を見つけた武田は、4台持ち帰りました。
動くことの無い壊れた織機。持ち帰った4台の織機は、まず最初にすべての部品を一つ一つ分解。
使える部品だけをより集め、一から組み立て直します。
そうして、新たに出来上がったのは、2台の織機。
壊れて動かない4台の織機は、動く2台の織機へと再生されたのです。
昔のように動くようになった織機ですが、これで完成ではありません。
織機には、さらに特殊な改造を施していきます。
昔の織機で織物づくりをしたかったのは、昔の織物を再現したかったのではありません。
改造を施して、これまでに無い新しい織物を作りたかったのです。
織機のあらゆる部分に改造を施し、そして完成させたがの、世界にただ一つ、工房織座オリジナル「着尺一列機(きじゃくいちれつばた)」でした。
多く織れて一日に30枚、少ないものでは10枚程度。一枚一枚確かめながら織り上げることで、温かく柔らかい、独創的なオリジナルの織物が作られます。
工房織座では、原点に立ち返り、新しいもの創りをテーマに、環境へのやさしさや、肌触りの良さを吟味し、着尺一列機だからこそ表現することのできる、存在感のある確かな「織物」を作り続けます。